夜、仕事や家事を終えてソファに沈み込む。
その状態でネットショップを開くと、なぜか「絶対に必要だ」と思い込んでカートに入れてしまう。翌朝見返すと、「なぜ自分は折りたたみ式のドローンを…?」と頭を抱える。
疲れているときの判断って、だいたいそんな感じでズレています。
かつて、通信系大企業で激務に追われていた頃の僕は、この「疲れた脳」に何度も人生を振り回されてきました。ストレスと疲労がピークに達した時、僕は理性的な判断能力を完全に失っていたのです。
今回は、そんな僕自身の苦い経験を振り返りながら、疲れた脳がなぜ誤った判断をしてしまうのか、そして、それを防ぐためのシンプルなルールについてお話ししたいと思います。
1. 脳も電池切れする──「省エネモード」の恐ろしい罠
脳の意思決定には“エネルギー”が必要です。
疲れているときは、そのエネルギーが切れている状態。スマホでいえばバッテリー残り5%のまま、重いアプリをいくつも立ち上げているようなものです。
その結果、合理的な判断ではなく、省エネモードの判断が顔を出します。
- 「安いからこれでいいや」
- 「また明日考えればいいや」
- 「とりあえず全部カートに入れておこう」
これらはすべて“疲れた脳”の自動運転。
かつての僕は、疲れているときに「人生を変えるには、もっと効率的に働かないと」と思い込み、高額なビジネス本を何冊も買ったり、必要もないオンライン講座に申し込んだりしていました。
冷静なときの自分なら、必要性を吟味し、本当に自分に合うものを選ぶことができたはずです。しかし、疲れた脳は、思考を放棄し、最も楽な選択肢を選んでしまうのです。


2. 翌日見返すと別人の選択に見える
例えば、夜中に「高級マッサージチェア」を購入しかけた経験がある人はいませんか?(僕はあります…!)
冷静なときの自分なら「そんな大きな家具、置く場所ないでしょ」と即ブレーキを踏めるのに、疲れていると「これさえあれば人生が変わる」とすら思えてしまう。
翌朝の自分からすると「昨日の決断は、もはや別人の仕業」です。
僕が適応障害で会社を辞める決断をした時も、似たような状況でした。あの時の僕は、疲労とストレスで正常な判断ができていなかった。冷静さを取り戻した今なら、もっと他に選択肢があったかもしれません。
疲れているときの決断は、まるで酔っ払いがカーナビを操作しているようなもの。目的地にたどり着ける気がしないばかりか、とんでもない遠回りや、危険な場所にたどり着いてしまうリスクすらあるのです。
3. 最善の判断は「決めないこと」という判断
ここで大事なのは、“疲れているときには決断しない”という判断をルール化すること。
- 決めない → まずは休むことを最優先にする。
- 休む → 睡眠をしっかりとる、散歩をする、美味しいものを食べるなど、脳のエネルギーを回復させる。
- 翌日、頭がスッキリしてから考える → 翌朝、改めてその決断が必要かどうか、冷静に判断する。
たったこれだけで、意思決定の精度は驚くほど上がります。
僕が実践しているのは、以下の2つのシンプルなルールです。
- 就寝3時間前にはネットショップを見ない。
- 大きな買い物は、必ず翌日に再検討する。
このルールのおかげで、僕は大きな後悔をする買い物をすることがほとんどなくなりました。


まとめ
疲れているときの判断は、まるで酔っ払いがカーナビを操作しているようなもの。目的地にたどり着ける気がしません。
「今日は頭が回らない」と感じたら、勇気を持って“保留”にしてみる。
それは、弱い自分を認めることではなく、未来の自分を守るための賢い選択です。
たったそれだけで、大きな後悔を回避できることは案外多いのです。
さて、あなたは最近「疲れた状態で決めて後悔したこと」ってありますか?もしあれば、それは未来のあなたに「休む時間が必要だよ」と教えてくれているサインかもしれません。
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