2025年5月、我が家に新たな命、息子が誕生しました。予定日より少し早めに、元気いっぱいに世にデビューした彼は、僕の人生の価値観を根底から揺さぶりました。僕は今、育児休暇を取得中です。毎日、息子の泣き声に起こされ、うんちの処理に追われ、寝不足の日々を過ごしていますが、それでも「毎日が満たされている」という不思議な幸福感に包まれています。正直、ここまで生活がガラッと変わるとは思っていませんでした。
これまでの僕は、どちらかというと「努力が気持ちいい」と感じるタイプで、常に目標設定をしていました。その目標の多くは、お金やスキルといった「見える資本」に偏っていたのです。
「人的資本」と「金融資本」ばかり鍛えてきた僕の過去
これまでの僕の人生は、まさに「人的資本」と「金融資本」をひたすら積み上げる“ゲーム”でした。 高校中退という経験から、僕は大学で猛勉強に目覚め、成績優秀者として表彰されました。その後、通信系大企業に就職。しかし、配属先でのパワハラ上司との出会いは、僕のキャリア観を大きく変えました。このままでは潰れると思い、僕は資格取得に猛烈に励みました。AWS、PMP、CISSP、情報処理安全確保支援士など、20個以上の資格を取得し、まさに人的資本にスキルポイントを全振りする日々でした。



同時に、「いつでも辞めれるように」という危機感から、資産形成にも力を入れました。投資信託でオルカン(全世界株式)とS&P500を地道に積み上げ、時間と複利の力で金融資本を拡大させていきました。僕の投資哲学は「考えるな、投資しろ!」というシンプルながらも強力なものです。何をするにも「この時間は自分の未来のためになっているか?」という基準で動いていたのです。
それはそれで、戦略的だったし、決して間違ってはいなかったと思います。結果的に、通信系大企業では居場所ができ、2年前までは安定した会社員生活を送っていました。しかし、2年前にプロジェクトメンバーの死という壮絶な経験を経て適応障害となり、退職・転職を決意。資格取得などで得たノウハウを活用し、現在は地方の製造系大企業に転職して1年ほどが経ち、これまでのキャリアとお金を振り返っている最中です。



「社会資本」って、正直スルーしてたよね?育休パパが気づいた「見えない資本」の存在
そんな僕がこれまでの人生でずっと無視してきた、あるいは存在に気づこうとしなかったステータスがあります。それが「社会資本」です。
地域とのつながり? 家族との時間? 親しい友人との人付き合い? 正直なところ、「いや、人付き合いってちょっと苦手なんだよな…」と思っていました。それよりも、「資産形成」や「自分磨き」(人的資本の強化)の方が、数字で成果が見えるし、達成感が得られて気持ちよかったのです。僕にとっての「幸福の探し方」は、常に内向きだったのかもしれません。
しかし、息子が生まれたことで、この「見えない資本」の存在が、一気に現実のものとして、僕の目の前に現れました。
参考記事:人生を可視化する「僕の人生ダッシュボード」:3つの資本を最大化し、幸福を手に入れる戦略
育児という“強制イベント”により、リソース配分を再検討
子どもという存在は、本当にユニークです。まさに「気づけば中心にいる」タイプのラスボスのようなもので、僕の生活のあらゆる側面を支配し始めました。彼の泣き声一つで、これまで集中していた作業の時間は中断され、彼の笑顔一つで、それまでの僕の悩みが全てどうでもよくなる。そんな毎日です。
これまで勉強や自己研鑽に使っていた時間が、すっぽり彼に取って代わられる。そんな日々を過ごす中で、僕はある真実に気づいたのです。 「あ、これは社会資本のターンかもしれない」と。
これまで「努力は避けるための努力」をしてきた僕にとって、育児はまさに「再定義された努力」でした。自分の意志とは関係なく、時間や精神的なリソースを家族という存在に割かざるを得ない。その“強制イベント”とも言える育児によって、僕のこれまでの「資本戦略」は、根底から見直しを迫られることになったのです。

僕の“資本戦略”は、こう変わった:バランスの再構築
この育児を経験して、僕の「資本戦略」は大きく転換しました。
- 人的資本
- 金融資本
- これまで:積立投資と節約で堅実に増加。これは貧困が思考を鈍らせるという僕の原体験からくる、切実な思いでもありました。
- これから:これまで同様に自動積立を活用しつつ、手間なく継続していきます。資産を増やすこと自体に焦るのではなく、「お金は心の盾」として精神的な安心感を得るためのツールとして捉え直します。これは「資産は4000万円を超えたけど、心の地獄」という今の僕の状況を乗り越える上でも重要です。
- 社会資本





人的資本と金融資本はすでに仕組み化され、ある程度の安定が図られています。あとは“社会資本”という、これまで僕が未踏だったステータスを伸ばしていくフェーズに入ったのです。
育児とは「投資」である──回収は20年後かもだけど、最高の利回り
育児は、決して見返りを期待してやるものではありません。無償の愛と時間、労力を注ぐものです。しかし、“投資”という言葉で例えるならば、極めて利回りの高い資産形成とも言えるのではないでしょうか。
子どもとの関係性、家族との絆、そして何気ない日常の中で感じられる幸福感。これらは、どれだけ資格を取って人的資本を増やしても、どれだけお金を稼いで金融資本を拡大しても、決して手に入らない価値です。これは、僕が「人生ダッシュボード」で提唱する「社会資本」の、最も純粋な形かもしれません。
確かに、この「投資」の「回収」は20年後、あるいはそれ以上先になるかもしれません。もしかしたら、明確な金銭的リターンとして返ってくることはないかもしれません。しかし、得られる心の豊かさ、人生の充実感は、何物にも代えがたいものです。これは、僕が地方移住をして気づいた「がんばらない自分と整った暮らし」にも繋がる、新しい幸福の形なのです。


まとめ:資本のバランスを見直して「自分に合った幸せ」をつかむ
僕は、これからも人的資本と金融資本のメンテナンスを怠らないつもりです。これらは僕が「会社に依存しない生き方」を追求する上で不可欠な基盤だからです。
でも、それ以上に「社会資本」という目に見えない価値にも、これまで以上にリソースを割くと決意しました。人生のフェーズが変われば、戦い方も変わるものです。大切なのは、自分にとっての幸福度の最大化。数字だけでは測れない“幸せの指標”を、これからは大事にしていこうと思います。
育児は、僕に「人生はバランスだ」と教えてくれました。そして、「幸福とは何か」という問いに対する、僕なりの答えを見つける旅は、まだ始まったばかりです。


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