【キャリア】自己責任だから本気になれる—自分に矢印を向けるという選択

キャリア

これまで、私はこのブログで金融資産の築き方や、人的資産への投資の重要性について、様々な角度から語ってきました。例えば、地道な積立投資がもたらしてくれた経済的な安心感と精神的な余裕、あるいは資格取得によって会社内での確固たる居場所を築いた経験、さらには一度のドロップアウト経験から見事に復活を遂げた道のりなど、具体的なエピソードを交えながらその重要性を伝えてきました

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しかし今日、私は少し視点を変えて、これらすべての成功体験の根底にあった、より本質的な問いについて考えてみたいと思います。それは、「なぜ、自分はここまで本気になれたのか?」という問いです。何が私を突き動かし、困難な状況の中でも諦めずに努力を続けさせたのか。その答えは、私にとっての「自己責任」という言葉の解釈にありました。

金融資産は「ほったらかし」で育つけど…人的資産は違う

金融資産の形成について言えば、私のスタイルは基本的に「設定したら忘れる」というものです。

  • 毎月決まった額を自動で積立投資に回す。
  • ボーナスが入れば、追加でまとめて入金する。
  • それ以外は、特別なニュースがない限り、アプリを開いて状況を確認することさえ稀だ。

この「ほったらかし」戦略が可能なのは、一度最適なポートフォリオや積立額を決めてしまえば、あとは時間と複利の効果に任せて、ほとんど何もしなくていいという金融投資の性質のおかげです。これにより、精神的なストレスなく、着実に資産を育むことができます。

しかし、人的資産の成長は、そうはいきません。

「何か新しいことを勉強しなきゃな〜」 「誰かが自分に合った知識を教えてくれないかな〜」 「上司がもっと手厚く育ててくれたら、自分も成長できるのに…」

こんな風に、誰かが何かをしてくれるのを待っていても、誰もあなたの成長を保証してくれるわけではありません。人的資産は、植物のように水を与えなければ枯れてしまうのと同様に、能動的に手入れをしなければ、あっという間に腐り、その価値を失ってしまうものです。

人的資産の成長には、明確な目的意識に基づいた能動性、そしてそれを達成するための惜しみない努力、さらには現状を打破するための若干の無茶が必要不可欠です。そして、これらすべてを動かす強力なエンジンこそが、私にとっての「自己責任」という考え方だったのです。

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僕の「めっちゃ頑張れた」時期:逆境が教えてくれたこと

私のこれまでの人生を振り返ってみると、まさに「人生で火がついた」と表現できるような、強烈な努力と成長の時期が何度か訪れています。それは、常に何らかの逆境やコンプレックスが原動力となっていました。

【大学時代:高校中退のコンプレックス燃焼期】 私は高校を中退した後、一念発起して大学進学を目指しました。周囲は名だたる進学校を卒業し、受験戦争を勝ち抜いてきた猛者たちばかり。そんな中で、「お前にできるわけがない」といった空気や、自分に対する劣等感がない交ぜになっていました。しかし、この強烈なコンプレックスが、私を突き動かす最大の燃料となったのです。自分を変えるには、努力するしかない。その一心で、がむしゃらに勉強に打ち込みました。その結果、大学では上位成績者として表彰されるまでに至ったのです。あの時の達成感は、何物にも代えがたいものでした。

【入社直後:パワハラ上司に潰されかけ期】 大学卒業後、初めて配属された部署で、私は強烈なパワハラ上司に遭遇しました。日々メンタルを削られ、仕事に行くこと自体が苦痛で、心身ともに疲弊していくのを感じていました。「このままここにいても、自分は精神的に潰れて消えるだけだ」。そう悟った瞬間、私は大きな決断を下しました。環境を変えるため、自分自身の市場価値を高めるために、業務時間外の時間を全て資格取得に全振りすることを決意したのです。

猛勉強の末、次々と資格を取得していくうちに、社内では「あの人は資格の人だ」と認知されるようになり、それが私の「居場所」を確保することに繋がりました。この経験は、どんなに厳しい環境でも、自分自身に目を向け、努力を積み重ねることで、状況を打開できるという大きな自信を与えてくれました。

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「矢印を自分に向ける」=最強の習慣

振り返ってみると、私はある意味で「運が良かった」のかもしれません。高校中退というドロップアウトの経験を通して、「他人や環境を変えるのは無理だ」という現実を、比較的早い段階で悟ることができたからです。

会社や他人に文句を言ったり、状況が好転するのを待ったりするよりも、自分自身の内面や行動を変える方が、はるかに現実的であり、そして何よりも効果的である。その方が、目標達成までの道のりが早く、確実に成果に結びつき、そして何よりも「自分自身の力で道を切り拓く」という感覚が、私を強く燃え上がらせることに気づいたのです。

会社の派閥?政治?どうでもいい

職場では、しばしばこんな会話が飛び交います。

  • 「あの上司の愚痴、聞いてよ。本当に理不尽で…」
  • 「あの部署とこの部署の派閥争いがひどくて、仕事がやりにくい」
  • 「政治家が悪いから、世の中がこんなに住みにくいんだ」
  • 「会社の制度が古いせいで、俺たちの給料が上がらないんだ」

私も「うんうん」と相槌を打ち、話を合わせることはあります。しかし、心の中では常に、ある問いが頭をよぎります。

「それ、自分の人生にどれくらいの影響がある?」

もちろん、社会問題や会社の課題を認識することは重要です。しかし、それに自分の大切なエネルギーを費やし、感情を乱されることは、果たして自分の人生にとって建設的なのか? 私が出した答えは、「ノー」でした。

自分のエネルギーを“矢印の向き”に注ぐ

私の中には、自分自身のエネルギーの使い方に関する明確なルールがあります。

  1. 変えられないものに、文句を言わない。
  2. 変えられるものに、全力を注ぐ。

このシンプルなルールを徹底することで、日々の時間の使い方が劇的に変わりました。

  • 愚痴: 他人や環境に対する不平不満は、エネルギーの無駄遣いなので、しない。
  • ニュース: 世の中の動きは把握するものの、ネガティブな情報に過剰に反応せず、流し読み程度に留める。
  • SNS: 不必要な通知はオフにし、情報に振り回される時間を最小限に抑える。
  • 自分の目標: 漠然とした願望ではなく、具体的な目標として明文化し、日々のスケジュールに落とし込む。そして、着実に実行に移す。

この意識改革によって、私のエネルギーは、自分自身の成長と目標達成のために、効率的に集中されるようになりました。

まとめ:「自己責任=自分のスイッチ」

「自己責任」という言葉は、時に冷たく、突き放すように響くかもしれません。しかし、私にとってこの言葉は、まるで止まっていたエンジンに火を入れ、一気に加速させる「自分のスイッチ」のようなものです。

  • 他人のせいにしない: 問題の根源を自分の中に探し、解決策を自ら見つける。
  • 自分に矢印を向ける: 環境や他者に期待するのではなく、まず自分自身が変わることを選択する。
  • 成果も失敗も自分ごとにする: 成功も失敗も、すべては自分の行動の結果だと受け止め、次へと活かす。

そうやって、私はこれまでの人生で、いくつかの困難な「谷」を乗り越えてきました。自己責任の意識があったからこそ、私は本気になれた。そして、この習慣は、今も私の人生をじわじわと、しかし確実に前に進めてくれています。

未来を切り拓く力は、常に自分自身の中にあります。

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