資産形成と聞くと、多くの人は何を思い浮かべるでしょうか? かつての僕なら、「月10万円の副業収入!」「早期退職して悠々自適な生活!」といった、キラキラしたイメージばかりを妄想していました。しかし、現実はどうだったかというと……。
意気込んで始めた副業ブログは3記事で心が折れ、期待して買った株価は瞬く間に下がり、ポイント投資に至っては「おはじきレベル」の成果しか出ませんでした。そんな「稼ぐ」ことに焦っていた僕が、今、育児休業中です。驚くことに、この数ヶ月、僕は1円も稼いでいません。それなのに、なぜか毎日が、以前よりも「そこそこ豊か」だと感じています。
この不思議な感覚を通して、僕は一つの真実に気づいてしまいました。 もしかしたら、「お金を増やす」ことよりも先に、「自分の時間を取り戻す」ことこそが、本当の資産形成の第一歩なのではないか、と。
育休中に訪れた、僕にとっての「平和な革命」
育休に入った初日。朝9時にパジャマ姿で麦茶を飲んでいる自分を見て、思わず心の中で叫びました。「あ、これ、勝ち組では?」と。もちろん、目の前で赤ちゃんは泣いていましたが、それすらも(なんとか)愛おしいと思えるくらいの余裕が、そこにはありました。
通勤電車に揺られることもない。分刻みの会議もない。そして、赤ちゃんが寝ている間は、大人だって堂々と昼寝ができる(合法!)。冷蔵庫には昨日買ったおやつもある……。この、自分の時間を「自由に使える」という贅沢は、会社員としてガツガツ働いていたら、おそらく永久に味わうことはできなかったでしょう。
もちろん、「この時間で、もっと稼げたかもな」と考えることもあります。しかし、それ以上に、“自分の時間をちゃんと感じられる”という、計り知れない贅沢の方が、僕にとっては圧倒的に価値が大きかったのです。これは、僕の人生における、まさに「平和な革命」でした。
地味だけど、めちゃくちゃ効いた「家計整えチャレンジ」
働いていた頃の僕は、「家計簿アプリなんて、リア充の趣味でしょ?」と、どこか冷めた目で見ていました。多忙を言い訳に、家計管理は常に後回し。月末に明細を見て「あれ、今月使いすぎた?」と漠然と反省するだけの繰り返しでした。
ところが、育休に入ってからは違います。 マネーフォワードを導入し、本格的に家計の「見える化」に着手。クレジットカードを整理し、ポイント還元は「ドコモ経済圏」に一本化しました。なんとなく契約しようとしていた息子の生命保険も、育休中の時間を活用して、複数の商品を徹底的に調べ上げました(これは本当に褒めてほしい)。サブスクリプションサービスも、「そもそも俺、これ最近観てたか?」と一つずつ問い直し、不要なものはバッサリ解約しました。
これらは、どれも地味な作業です。しかし、育休中の「すき間時間」があったからこそ、着手できたことばかりです。もし仕事が忙しかったら、きっと「今度の週末にやろう(→そして一生やらない)」と先送りにしていただろうと思います。
この「家計整えチャレンジ」は、直接「稼ぐ」ことには繋がらないかもしれません。しかし、支出を最適化することは、手元に残るお金を増やし、結果として「お金のために働く時間」を減らすことに繋がります。これは、まさしく「時間を取り戻す」ための、地味ながらも強力な一歩だったのです。
完全FIREより「そこそこ働いて、そこそこ自由」派へ
巷で語られる「完全FIRE(経済的自立と早期リタイア)」という言葉。正直なところ、僕にはまだ遠い夢のように感じられます。全財産を投資に回して早期リタイア? うーん、怖いし、たぶんヒマすぎてソワソワしてしまうだろうな、というのが本音です。
しかし、「自分の働き方を選べる」くらいの自由は、本当に良いものだと感じています。ガッツリと激務に身を置くのではなく、ほどほどに稼ぎ、ゆるやかに育児をして、夕方には子どもと一緒におやつを食べる。
僕にとって、お金は「目的」ではありません。**“自分の人生の時間の主導権”を取り戻すための「ツール」**なのです。だからこそ、今の僕には、完全FIREよりも、「窓際FIRE」という考え方がしっくりときます。会社という安定した土台に身を置きながらも、仕事に縛られすぎず、自分の時間を大切にする。このバランスこそが、僕が求める自由な生き方なのです。

「時間がある」って、最高の贅沢な資産だった
最後に改めて、強く言いたいことがあります。
資産形成とは、銀行口座の残高や証券口座の評価額を増やすことだけではありませんでした。本当に大切なのは、“自分の人生を、自分でデザインできる感覚”を手に入れること。それこそが、一番の資産だったのです。
そして気づけば今日も、子どもと一緒にお昼寝して、ふと目を覚ましたら天井のシミを見つけて、「ああ、今日も何もしてないけど、なんか幸せだな」って思っています。
たぶん、それが僕が今、目指しているFIREの形。 👶 育児しながら、日々の自由を味わう。そんな資産形成の形も、大いにアリなんじゃないでしょうか。


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