【資産形成】僕が「人的資本」の限界に気づき、「金融資本」に救われた話

資産形成

もし、キャリアの成功を「どれだけ稼ぐ力があるか」で測るなら、かつての僕は、かなり恵まれていたのかもしれない。

IT系大企業の激務の中で、僕は自分のスキルや経験(人的資本)を必死に磨き上げていた。難関資格を取得し、新しい技術を身につけ、プロジェクトの最前線で戦う日々。それは、自分の価値が上がっていくのを実感できる、充実した時間でもあった。

しかし、同時に、それは僕の心と体を少しずつ蝕んでいった。

パワハラ上司の顔色をうかがい、会社の空気に神経をすり減らし、終電で帰るのが当たり前になった。それでも、「この会社を辞めたら、僕の人的資本は無駄になる」「せっかく築き上げたキャリアを手放してはいけない」というプレッシャーが、僕を縛り付けていた。

この時、僕は気づいた。

どんなに立派な「人的資本」も、それだけでは人生の安全を保証してくれない。

そして、僕を本当に救ってくれたのは、コツコツと貯めていた地味な「金融資本」だったのだ。

今回は、僕が「人的資本」の限界に気づき、「金融資本」がいかに人生の選択肢を広げてくれたかについて、正直にお話ししたいと思う。

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1. 人的資本の暴走──「稼ぐ力」が「生きる力」を削る矛盾

「人的資本」とは、簡単に言えば「自分が働いてお金を稼ぐ力」のことだ。

学歴、職歴、スキル、経験。これらは全て、僕たちの人的資本を構成する要素だ。

社会に出たばかりの頃の僕は、この人的資本を最大化することに人生の全てを賭けていた。

仕事に没頭し、寝る間も惜しんで勉強し、休日も自己研鑽に励んだ。

なぜなら、それが僕が「生き残る」ための唯一の方法だと信じていたからだ。高校中退という過去のコンプレックスを払拭するため、僕は誰よりも人的資本を積み上げようと必死だった。

しかし、僕の人的資本が右肩上がりで成長していく裏側で、僕の「生きる力」はどんどん削られていった。

激務による睡眠不足、ストレスによる食欲不振、人間関係の軋轢。

僕の人的資本は、まるで暴走した機関車のように、僕の心と体を置き去りにして、ひたすら前へと突き進んでいた。

そして、プロジェクトメンバーの死をきっかけに、僕の心は限界を迎えた。


2. 絶望の淵で気づいた、「金融資本」という名の救命ボート

適応障害と診断され、僕は会社を辞めた。

それは、僕にとって「人的資本」の崩壊を意味していた。

会社を辞めれば、僕の積み上げてきたキャリアは一時的にストップし、稼ぐ力はゼロになる。僕は絶望の淵に立たされていた。

しかし、その絶望の中で、僕を救ってくれたのは、もう一つの資本だった。

それが、コツコツと貯めてきた「金融資本」だ。

学生時代から始めたアルバイトの貯金、社会人になってからの倹約、そしてわずかながら行っていた投資。それらが、僕の銀行口座に「心の余裕」として蓄積されていた。

「今すぐ収入がゼロになっても、数か月は暮らせる」

この事実に気づいたとき、僕は初めて深く息を吸い込むことができた。

会社という名の海で沈みかけていた僕を、金融資本という名の救命ボートが、静かに、そして確実に受け止めてくれたのだ。


3. 「人的資本」と「金融資本」は、人生の「両輪」だった

かつての僕は、「人的資本」と「金融資本」を、まるで競争相手のように見ていた。

「稼ぐ力(人的資本)を増やせば、お金(金融資本)は後からついてくる」

そう信じていた僕は、金融資本を増やすための地道な努力を軽んじていた。

しかし、僕は今ならわかる。

「人的資本」と「金融資本」は、人生を前に進めるための「両輪」だ。

人的資本は、人生を加速させるためのエンジンのようなもの。

しかし、エンジンを全開で走らせ続ければ、いつかオーバーヒートしてしまう。

その時に、一度停車して休むための「ガソリン」であり、人生の進路を見つめ直すための「地図」が、金融資本なのだ。

そして、金融資本があれば、「がんばりすぎない」働き方も可能になる。

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4. 資産形成は「自由」を買う行為

僕は今、地方の製造系大企業で、心穏やかに働いている。

かつてのような激務もパワハラもない。

しかし、それでも、僕はコツコツと資産形成を続けている。

なぜなら、資産形成は単なるお金儲けではなく、「自由」を買う行為だと気づいたからだ。

「嫌なことは、嫌だと言える自由」 「家族との時間を大切にする自由」 「一度立ち止まって、人生の進路を考える自由」

これらの自由は、どんなに高い給料をもらっても、手に入らないことがある。

しかし、金融資本という名の資産は、僕たちにその自由を現実のものにしてくれる。

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おわりに:二つの資本をバランスよく育てる

僕が激務の会社を辞め、心穏やかな日々を送れているのは、決して人的資本を捨てたからではない。

むしろ、金融資本という土台ができたことで、自分の人的資本を「本当にやりたいこと」のために使えるようになったのだ。

かつての僕は、お金のためにキャリアを築いていた。

でも今は、キャリアという名の人的資本を、自分の人生を豊かにするために使えている。

この変化は、僕にとって何よりも大きな収穫だ。

人生の満足度を高めるためには、「人的資本」と「金融資本」という二つの資本を、バランスよく育てていくこと。

それが、僕が過去の失敗から学んだ、最も大切な教訓だ。

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