会社って、ほんと“人間の動物園”だなって思いませんか? リーダー気質で吠えまくる「サル系」社員、場の空気を読んで自在に立ち回る「カメレオン系」社員、はたまた何を考えているのかさっぱりわからない「クラゲ系」社員まで、多種多様な生き物たちがひしめき合っています。
そして僕といえば、「目立たず、群れず、でも確実に生き残るタイプ」。もしかしたら、会社の生態系においては「絶滅危惧種」に分類されるかもしれません。今回は、そんな僕が、会社の厳しいサバンナで生き抜くために編み出した独自の「生存戦略」について語ってみたいと思います。会社の理不尽さや不透明さに「モヤモヤ」しているあなたにとって、きっと何かしらのヒントになるはずです。
夢を抱いて入社した、あの春:幻想と現実のギャップ、そして砕け散る理想
僕だって、最初はそう思っていたんです。ピカピカのスーツに身を包み、希望に満ち溢れて会社の門をくぐった、あの春の日。同期たちと肩を並べ、「これから社会を変えるぞ!」と意気込んでいました。まるで、少年漫画の主人公になったかのような高揚感があったのを覚えています。
「よし、このチームを巻き込んで、大型プロジェクトをグイグイ推進してやるぞ! リスク?もちろん全て予測済みです。資料?既に完璧に完成済みです(ドヤ顔)」
なんなら、入社数年後には“社内MVP”を受賞して、表彰台でスポットライトを浴び、拍手喝采の中、堂々とスピーチしている未来まで想像していました。夜な夜な、カフェでビジネス書を読み漁り、自己啓発セミナーにも顔を出す。「デキるビジネスマン」になるための準備は万端だと信じて疑いませんでした。しかし、僕のこの幻想は、あっけなく打ち砕かれることになります。
配属ガチャ、盛大に外れました:夢のデータがゴミ箱行きになった日
ところが、現実はそんな甘いものではありませんでした。世に言う「配属ガチャ」。僕のそれは、盛大に“外れ”でした。配属されたのは、絵に描いたような「パワハラ上司の巣窟」。まさに、地獄絵図でした。
「返事が遅い!お前は何を考えているんだ!」 「目が泳いでるぞ!もっと気合いを入れろ!」 「気合いが足りん!こんな資料でよく出せるな!」
言葉というより、まるで感情をぶつける呪文のように、毎日怒号が飛び交う部署でした。朝、会社に向かう電車の中で、胃がキリキリ痛み、吐き気がこみ上げる。メールの送信ボタンを押す手が震え、心臓の音が耳鳴りのように響く。そんな日々が続きました。
そうこうしているうちに、僕の胸の中にあった“夢”という名のクラウドデータは、少しずつ、しかし確実に音を立てて削除されていきました。そして最終的に、ゴミ箱までもが空っぽになり、僕はただ、会社にいるだけの「抜け殻」のようになってしまいました。あの頃の僕は、まさに「会社こわい…」モード全開で、常に誰かの顔色を窺い、萎縮していましたね。


それでも辞めなかった僕が決めた“戦略”:「立ち回り力の三種の神器」を装備せよ
正直、何度「こんな会社、辞めてやる!」と心の中で叫んだか分かりません。朝、目を覚ますたびに、枕に顔を埋めて「このまま二度と起き上がりたくない」と思ったことも一度や二度ではありません。それでも、僕は辞めませんでした。辞めなかった自分が、会社の荒波を乗り切るために決めた一つの「戦略」。それは、「出世レースには乗らない。でも、会社から消えもせず、かといって軽蔑もされずに、この場所に残り続ける」という、なんとも絶妙な、まるで会社員版の「中庸の精神」のような立ち位置でした。
そのために、僕が装備したのが、独自の“立ち回り力の三種の神器”です。
- クビにならない程度に仕事をこなす: 「あの人、何やってるの?」とは言われない程度の最低限のパフォーマンスは維持しつつ、決して「デキるヤツ」として過度な期待は持たれないようにバランスを取りました。無理して評価を得ようとせず、常に70点主義を意識しました。
- 資格取得で「お、アイツやるやん」と思わせる: 表面的な実績を積み重ねることで、周囲に「意識は高いんだな」「なんだかんだで努力してるな」と“思わせる”ことに成功しました。実際にスキルが身につくことももちろん重要ですが、これは社内での無駄な摩擦を避け、穏やかな立ち位置を確保する上で非常に有効でした。まるで、会社というゲームで「称号」を集めているような感覚でしたね。
- 資産形成で精神的安定を得る: 何よりも大きかったのは、経済的な基盤を築いたことです。「いざとなれば辞めても大丈夫」という心の安全弁を確保できたことで、会社でのプレッシャーや理不尽な要求に対して、必要以上に萎縮することなく対応できるようになりました。これは、僕のメンタルを守る最大の武器となりました。



キーワードは「ワークライフバランス」「年功序列」「終身雇用(あると信じたい)」:日本型雇用が生み出す奇妙なゲームバランス
この国の会社員は、ある意味、不思議なルールの上で生きていますよね。グローバルスタンダードとはかけ離れた、日本独自の「ゲームバランス」が存在するんです。
- 毎日8時間以上働いているのに、正当な評価は年に1回あるかないか。しかもその評価基準も不明瞭。
- 多少サボっていても、なんだかんだ「年次」が上がれば給料もポジションも上がる(年功序列)。
- やたらとバリバリやりすぎると、周囲から「あいつ、浮いてるぞ」「和を乱すな」と冷たい視線を浴びる。むしろ煙たがられることさえある。
…え、これ、ゲームバランス大丈夫? と真剣に突っ込みたくなります。しかし、逆に考えれば、これらの「不思議なルール」を理解し、「地雷さえ踏まなければ、案外生き残れる世界」とも言えるのです。僕は、この独特のゲームバランスの中で、いかに自分らしく、かつ無理なく立ち回るかを模索してきました。会社のルールを完全に無視するのではなく、その歪みを逆手にとって、自分にとって有利に働くよう立ち回る。それが僕の生存戦略の肝でした。
正直、会社の“甘い汁”は吸いたかった:苦い現実から見出した「別の甘さ」
だってそうでしょう? せっかく日本の通信系大企業に入社できたんです。両親も「すごいね!」って褒めてくれたし、近所の定食屋のおばちゃんにだって「息子さん、大手勤めか。安定してそうやな〜」なんて言われたんですよ。そりゃあ、一度くらいは会社の用意した“甘い汁”を心ゆくまですすりたいと思うじゃないですか。
でも、僕に回ってきたのは、苦い汁。しかも常温。それどころか、パワハラと長時間労働で胃がキリキリするような日々でした。その現実に直面した時、僕は「会社に全てを捧げる」という働き方から、自分自身を守るための働き方へとシフトすることを決意しました。会社の甘い汁は吸えなかったけれど、その代わりに、自分で作り出す「別の甘さ」、つまり経済的な自由や心の安定といった、より本質的な豊かさを追求するようになったのです。
今の僕はこうして働いている:会社員という名の「水中生物」が辿り着いた境地
現在の僕は、こんな風に会社という動物園で働いています。
- 会議ではそこそこ喋る: 意見は発しますが、主導権を握りすぎず、他者の意見も尊重します。議論の場では、必要最低限の発言に留め、無駄な感情の消費を避けます。
- 目立ちすぎない: MVPを狙うのではなく、あくまで「堅実な仕事をする人」という評価を目指します。派手な成果よりも、安定したアウトプットを重視します。
- やたら帰りが早くても「資格の勉強してます」で無罪放免: 健全な言い訳(事実)を用意し、定時退社を常態化させました。これにより、仕事以外のプライベートな時間や自己投資の時間を確保できるようになりました。
- 投資と副業で、心の安全弁も確保済み: 会社以外にも収入源を持つことで、精神的な依存度を下げています。これは、会社の理不尽さや不透明さに直面した時でも、「いざとなれば別の道もある」と思える、強力な心の支えになっています。

言ってしまえば、これは「会社という巨大な水槽の中で、いかにストレスなく泳ぎ続けるか」という「会社内スイミングスキル」を磨いた結果たどり着いた、僕なりの働き方です。会社員という名の「水中生物」として、目立たず、しかし確実に酸素を取り込み、生き残っていく。そんな境地に達したと言えるかもしれません。
会社には悪いが、これが僕の“素直な働き方”:正面突破だけが正解じゃない
会社のために身を粉にして燃え尽きるのも、会社を完全に冷徹に見限って辞めてしまうのも、僕にはどちらもできませんでした。どちらの極端な選択も、僕の心には合わなかったのです。
しかし、自分の健康と生活、そして人生全体のために“うまく立ち回る”ことはできた。これが、僕が会社員として生き残るために選んだ「素直な働き方」です。それは、会社への忠誠心や出世欲に縛られることなく、自分自身の心と体を守り、充実した人生を送るための、最適なバランス点でした。
もしこの記事を読んでくださっている誰かが、「会社ってしんどいな」「このままでいいのかな」と、会社の閉塞感や人間関係に悩んでいるとしたら、僕はこう伝えたいです。
正面突破だけが、必ずしも正解じゃない。 時には“うまくかわす力”や“しなやかに立ち回る力”が、会社員として長く、そして心穏やかに生き残るためには必要なんだ、と。
会社の動物園で、あなたなりの「生存戦略」を見つけるヒントになれば幸いです。


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