【資産形成】家を買う? いや、まだ決められない──住宅購入と僕の迷い

資産形成

「そろそろ家、買わないの?」──友人や家族からそんな声が聞こえてくる年齢になった。人生の次のステージへ進む多くの人々が、住宅購入という大きな決断を下している。しかし正直なところ、私は未だにこう思っている。

「いや〜、決めきれんのよ。」

家を買うという決断は、カレーの辛さを選ぶように簡単ではない。多くの場合「一生に一度の大きな買い物」と言われる。その言葉の重みに、そりゃあ誰もが慎重になるのが当然だろう。漠然とした「マイホームへの憧れ」と、具体的な「住宅ローンという現実」の狭間で、私の思考は揺れ動いている。

この葛藤は、単なる優柔不断ではない。それは、「自分は本当にどう暮らしたいのか?」という、人生の根幹に関わる問いへの真摯な探求なのだ。この記事では、私が住宅購入というテーマとどう向き合っているか、その迷いの深層にある思考を掘り下げていく。

家賃2万7000円の楽園と、その終わり:幸福な賃貸生活と迫るタイムリミット

現在私が暮らしているのは、会社が提供してくれる社宅だ。その家賃、なんと2万7000円。それでいて3LDKという広さ、地方都市という環境、そして車2台駐車OKという破格の条件。「え? これ夢じゃないよね?」と、入居当初は何度も確認したほどだ。まさに私にとっての「住まいの楽園」である。
 参考記事:地方と都会の生活費を徹底比較!田舎暮らしの意外なメリットとデメリット

この経済的な恩恵は、私の資産形成にも大きな貢献をしてくれた。毎月の固定費が抑えられる分、投資への回す資金を増やし、着実に資産を積み上げることができたのだ。その結果、先日4000万円という節目を超え、心の余裕も生まれた。 
参考記事:4000万円を超えた資産が教えてくれたこと:数字の先にあった「心の静けさ」と「新たな問い」

しかし、この楽園にもタイムリミットがある。あと3年で家賃補助が切れてしまうのだ。周囲を見渡せば、同年代の友人たちは皆、せっせと土地を探し、間取りを考え、住宅ローンを組んで、次々と「マイホーム」を手に入れている。

「俺もそろそろ……かな?」と一瞬だけ心が動くものの、次の瞬間には、あの「30年ローン」という途方もない響きが頭をよぎり、「重くないか、その負担は?」と考えてしまう。目の前の経済的合理性と、未来への不確実性が、私を立ち止まらせるのだ。

新築の幻想と現実:買った瞬間に中古になる「資産」の真実

一度は、いわゆる「マイホーム」の王道である新築住宅にも目を向け、住宅展示場にも足を運んでみた。営業担当の方に促されるまま、提供されたお菓子を食べ、キラキラと輝く最新のキッチンや広々としたリビングを見ては、「うわ〜素敵ですね〜!」と、とりあえず笑顔で答えてみる。

しかし、心の奥底では冷静な自分がこうつぶやいていた。 「……で? この家、買った瞬間に価値がガクッと落ちるのよね?」

新築住宅は、確かにピカピカで魅力的だ。最新の設備が揃い、誰も使ったことのない真新しい空間は、住む人の心を高揚させる。しかし、その輝きは、まるで新車のように、一度購入した瞬間に「中古」へと変化し、資産価値が急激に下落するという現実がつきまとう。

もちろん、昨今の住宅価格は年々上昇傾向にあり、性能も格段に向上していることは理解できる。それでも、「土地が安いとされる地方都市でさえ、なぜか住宅価格が高い」という謎の現象は、私のような合理主義者にとっては大きな疑問符となる。果たして、数百万円、数千万円ものローンを背負って手に入れるものが、本当に“資産”と言えるのだろうか? この問いに納得のいく答えが出ない限り、決断には大きな勇気がいる。

中古+リノベ? シンプルなローコスト住宅?:本当に「住みたい」暮らしへの接近

そんなわけで、私が現実的だと感じている、より本質的な選択肢は以下の二つだ。

  1. 中古住宅+自分たちらしいリノベーション: 築年数は経っていても、立地が良く、構造がしっかりした中古物件を見つけ、自分たちのライフスタイルに合わせて間取りや内装を自由にカスタマイズする。これは、まさに「住めればいい」という受動的な選択ではなく、「住みたいように住める」という能動的な選択だ。 
    参考記事:創造的な「自分だけの場所」の作り方:資格取得が教えてくれた、地に足のついた暮らしのヒント
  2. シンプルで機能的なローコスト住宅: 過剰な設備や無駄な装飾を排し、本当に必要なものだけに絞り込んだ、ミニマルな住宅。広すぎず、しかし生活動線が計算され尽くした空間は、かえって心地よい。
     参考記事:Mac miniだけで十分?僕がたどり着いたミニマルな仕事環境の最適解

要するに、私にとって重要なのは、建物のスペックや新しさではない。「住めればいい」という妥協ではなく、「住みたいように住める」ことが何よりも価値があるのだ。多少手はかかるかもしれないが、自分たちの手で少しずつ手を加え、暮らしに合わせて仕立てていける家に、強い魅力を感じている。(まあ、残念ながらDIYセンスは壊滅的だが、それはまた別の問題である。)

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賃貸の「出ていける安心感」が捨てがたい:自由度を担保する居住の選択肢

今の社宅は、本当に最高だ。だが、もし家賃補助が切れて賃貸に移ったとしても、私の中には**「住んでみて違ったら、また別の場所に引っ越せばいい」という気楽さ**が常に存在している。この「出ていける安心感」は、持ち家にはない、賃貸ならではの大きなメリットだと感じている。

  • 修繕の心配? → 管理会社に電話一本。
  • 固定資産税? → 知らんがな。
  • 近所トラブル? → 最悪、数年後には引っ越してるかも。

もちろん、持ち家には資産形成としての側面や、精神的な安定といったメリットがあることは重々承知している。「持ち家は安心」と一般的に言われることが多いが、私にとってはその「動けること」「柔軟に対応できること」もまた、重要な安心感の一つなのだ。 特に、ライフステージの変化が予測しづらい現代において、身軽さを保つことの価値は、以前よりも高まっていると感じる。

決められない自分を、笑って許す:迷いを深めることで見えてくる本質

たぶん、いつかは住宅を購入するのだろうな、とは漠然と思っている。しかし、「今がそのタイミングか?」と問われると、やはり首をかしげてしまう。

焦って決断し、しっくりこない家を選んでしまうのは本末転倒だ。住む場所は、私たちの日々の暮らし、ひいては人生そのものに大きな影響を与える。だからこそ、自分の気持ちが完全に定まってこそ、理想の家に出会えると信じている。

今はまだ、この「迷いの時間」を大切にしたい。この時期に深く思考し、様々な情報を集め、自分自身の内面と対話することで、本当に求めている「暮らし」の輪郭が、より鮮明に見えてくるはずだ。

そして、この「決めきれない自分」も、笑って許してしまおう。もし、この迷いが頭の中をぐるぐる巡って出口が見えないときは、いっそその気持ちを文章にしてみる。そうすれば、思考が整理され、少しは前に進めるかもしれない。まさに、今この記事を書いているように。 
参考記事:書くことで自分を理解する:モヤモヤ解消と行動力アップのための「内省ノート」習慣

おわりに──住宅購入、それは「暮らし」への問い:迷いの先に広がる豊かな未来

僕にとって家を買うという行為は、「夢のマイホーム」というロマンチックな響きよりも、むしろ**「自分はどう暮らしたいのか?」「どんな生活を送りたいのか?」という、最も本質的な問いに答えること**なんだと思う。

今はまだ、その答えが完全には出ていない。しかし、こうして迷い、悩み、探求している時期こそ、後から振り返って「あの時間があったからこそ、最高の選択ができた」と思える日が来ると信じている。

今日も、家賃2万7000円の心地よい家で、そんなことを考えながらコーヒーを淹れている。この一杯のコーヒーのように、自分のペースで、じっくりと「最高の暮らし」の答えを探し続けていきたい。

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
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