もし、今あなたが心身を壊すほど追い詰められているとしたら、その原因は何だと思いますか?
僕にとってそれは、パワハラと激務で心を病んでいた大企業での日々でした。当時は、毎日が戦場で、心は常に張り詰めていました。しかし、それ以上に僕の心を蝕んでいたのは、「この会社を辞めたら、生きていけないかもしれない」という、漠然とした不安でした。
「逃げ道がない」。
その感覚こそが、僕の心を壊す最大の原因でした。
多くの人が「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」を人生のゴール、つまり「仕事を完全に辞めて、悠々自適に暮らすこと」と捉えます。しかし、僕にとってのFIREは、それとは全く違う意味を持っています。
FIREは、僕にとって人生のゴールではなく、「心の安全装置」であり、いつでも使える「逃げ道」です。
この記事では、パワハラを経験し、心を壊しかけた僕が、なぜFIREを「逃げ道」として捉えるようになったのか、そしてその「逃げ道」が、いかにして僕の人生を救ってくれたのかをお話しします。


1. 逃げ道がない状態が、心を壊す
僕は、高校を中退し、遠回りをして通信系大企業に就職しました。当時は、「ようやく社会のレールに乗れた」と、安堵の気持ちでいっぱいでした。しかし、配属先で待っていたのは、尊敬できない上司からのパワハラと激務。プロジェクトメンバーの死という壮絶な経験も重なり、僕は適応障害になりました。
「辞めたい」。そう思っても、当時の僕には辞めるという選択肢がありませんでした。お金の蓄えもなければ、転職できるスキルにも自信がない。そうして僕は、逃げ道のない場所に閉じ込められ、心が壊れていったのです。
この経験から、僕は「いつでも逃げられる準備をしておくこと」こそが、心を壊さずに生き抜くための最大の戦略だと学びました。



2. 逃げ道があること自体が、心を守る
「いつでも辞めても大丈夫」という心の余裕は、パワハラ上司の理不尽な要求にも冷静に対応する力をくれました。
僕は、資産形成と資格取得に力を入れ、いつでも「辞める」というカードを切れるように準備をしました。
- お金: 資産形成を進めることで、「もし会社を辞めても、数年間は生活できる」という心のゆとりを手に入れました。お金は、僕にとって「心の盾」であり、「逃げ道」を守るための大切な防具でした。
- スキル: 資格取得に励むことで、「この会社を辞めても、新しい場所で働ける」という自信を手に入れました。スキルは、僕にとって「どこへでも行けるチケット」でした。
そして僕は、これらの「逃げ道」の準備が整ったタイミングで、大企業を辞め、地方の製造系企業へと転職を決意しました。
この経験から、僕は「逃げ道がある」こと自体が、心を守る最大の保険になると確信しました。
3. FIREは「やめる自由」と「続ける自由」の両方を手に入れるための土台
FIREは、仕事を完全に辞めることではありません。むしろ、それは「続ける自由」と「やめる自由」の両方を手に入れるための土台です。
僕は今、転職した地方の製造系企業で働いています。前の会社とは違い、仕事に大きな不満はありません。しかし、僕は「いつでも辞めてもいい」という心の安全装置を持ち続けています。
- 「やめる自由」: 「この仕事は違う」と感じた時や、再び心を病んでしまいそうな時に、すぐにその場所から「逃げる」ことができる自由。
- 「続ける自由」: 「この仕事は好きだ」と思えた時や、やりがいを感じられた時に、お金のために無理に続けるのではなく、純粋にその仕事を「続ける」ことができる自由。
この2つの自由を手に入れることで、僕の人生は「お金のために我慢する」という呪縛から解放されました。
FIREは、人生のレースを走り続けるための、心強い「安全装置」なのです。


まとめ:心の安全装置を、今すぐ準備しよう
もしあなたが今、何かに追い詰められていると感じているなら、まずは「逃げ道」を作ることから始めてみませんか?
それは、僕がそうだったように、資格取得かもしれません。 あるいは、少しずつ貯金を始めることかもしれません。 そして、その過程で、あなたにとっての「FIRE」の本当の意味が見つかるかもしれません。
FIREは、仕事を完全に辞めることではなく、自分の人生を、自分の意思で選択するための「心の安全装置」です。
この安全装置を準備しておくことで、あなたはきっと、どんな困難にも立ち向かうことができる、強くてしなやかな心を手に入れられるはずです。
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