【資産形成】「FIRE卒業」という新しい選択:本当のゴールは“自由”と“心の平穏”だった

資産形成

最近、「FIRE卒業」という言葉がSNSで話題になっているのを見かけました。一度はFIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立と早期リタイア)を達成した人が、何らかの理由で再び働き始める現象のことです。これを聞いて、皆さんはどう感じますか? 「せっかくFIREしたのに、もったいない」「やっぱりFIREなんて無理なのか」と思う人もいるかもしれません。

僕自身、高校中退から通信系大企業での激務、そして適応障害を経験し、現在は地方の製造系大企業に転職して「窓際FIRE」を目指しています。そんな僕にとって、「FIRE卒業」という現象は、他人事ではありません。むしろ、FIREの「本当のゴール」とは何かを深く考えさせられるきっかけになりました。

なぜ、せっかく自由を手に入れたはずの人が、再び労働の世界に戻るのか。そこには、単なるお金の問題だけではない、もっと深い「心の状態」が隠されていると僕は考えています。

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「お金がなくなる」だけじゃない? FIRE卒業のもう一つの顔

FIRE卒業の理由には、大きく分けて二つあると僕は見ています。

  1. お金がなくなるから:想定以上に生活費がかさんだり、市場の暴落などで資産が減少し、経済的にFIRE生活を維持できなくなるケースです。
  2. お金はあるけれど、働かない生活に飽きるから:FIREできるほどの能力や意欲があった人が、社会との繋がりや仕事にアイデンティティを見出し、何もせず暇を持て余すことに耐えられなくなるケースです。

特に後者の「飽き」や「アイデンティティの喪失」は、僕が目指す「窓際FIRE」というコンセプトにも深く関わってきます。僕が追求しているのは、会社を完全に辞める「フルFIRE」ではなく、あくまで「経済的なゆとりと心の平穏」を軸に、自分らしいペースで働き続けることです。

もし、フルFIREをして、毎日快適な椅子に座り、ウルトラワイドディスプレイを眺めながらも、漠然とした「物足りなさ」や「社会からの隔絶感」を感じてしまったら。それは、せっかく手に入れたはずの自由が、かえって心の負担になってしまうことを意味します。僕が「快適なモノさえあれば快適な生活が手に入る」という幻想を手放したように、FIREもまた、達成すれば全てが解決する魔法ではないのです。

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僕が考える「FIREを維持する」ための3つの真の条件

僕が考える、FIREを維持するための3つの真の条件は以下の通りです。僕の「窓際FIRE」と「お金は心の盾」という哲学に照らし合わせて、さらに深掘りして解説していきます。

1. お金は「心の盾」:揺るがない精神的基盤の構築

「基礎生活費を資産所得で賄えること」は、FIREの最も基本的な定義です。しかし、僕にとってお金は、単なる生活費の保証以上の意味を持ちます。それはまさに**「お金は心の盾」**なのです。

かつてパワハラ上司に苦しめられ、適応障害になった時、僕を支えたのは「いつでも会社を辞められる」という経済的な選択肢でした。この「選択肢」が、理不尽な環境から自分を守る「心の盾」となり、窮地を乗り越える勇気をくれました。

FIRE卒業を防ぐには、単に「食っていけるだけのお金」ではなく、「何があっても大丈夫」と思える心理的な安心感が必要です。そのためには、S&P500への投資などで着実に資産を増やし、育休中に徹底的に家計をチューニングして「お金を逃さない仕組み」を整えることが重要です。経済的な余裕があるからこそ、人は本当にやりたいこと、本当に自分にとって大切なことに時間とエネルギーを費やせるようになるのです。

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2. 「心のメンテナンス」を軸にした人間関係と自己理解

FIRE生活を送る上で、家族や友人からの理解、あるいは彼らからの不干渉は非常に重要だと感じています。しかし、この「理解」は、FIREしたかどうかに関わらず、人生を豊かにする上で不可欠な要素です。

僕が「完璧じゃない育児」を実践し、「睡眠を優先」する中で学んだのは、完璧を求めすぎると自分も相手も疲弊する、ということでした。それは、家族関係も、友人関係も同じです。FIREという選択は、ときに周囲の価値観と衝突することもあります。そんな時、一番大切なのは、周囲の目を気にしすぎず、自分自身の心の状態を整えることです。

「心のメンテナンス習慣」を持つことで、心のざわつきに早めに気づき、対処できます。静かな朝に白湯を飲んだり、夜に数行ノートに書き出したり、目的なく散歩したり。こうした地味な習慣が、自分自身と向き合い、他者との健全な距離感を保つ上で役立ちます。経済的な自由があるからこそ、無理な付き合いを避け、本当に大切な人間関係に時間とエネルギーを注ぐことができるのです。

3. 「窓際FIRE」という僕なりの哲学:社会との接続と“役割”

そして最も重要なのが、「自分なりの『哲学』があること」です。これは、FIRE卒業を防ぐ上での究極の防御策だと僕は考えています。

フルFIREで完全に仕事から離れると、社会との繋がりや、自分が誰かの役に立っているという「役割」を失い、精神的な空白を感じる人が少なくありません。僕自身、大学で勉強に目覚め、資格取得に没頭してきた人間として、何かに打ち込むこと、成長すること自体が、僕のアイデンティティの一部だと感じています。

だからこそ、僕が目指すのは「窓際FIRE」です。これは、会社に籍を置きながらも、無理なく、自分のペースで働き、同時に副業やブログ運営を通じて社会と繋がり続ける生き方です。

「焦らず、心配せず動き続ける」というモットーは、まさにこの哲学を表しています。常に何かを生み出し、学び続けることで、飽きることなく、自分の存在意義を感じられる。これは、単に経済的な自由を得るだけでなく、人生全体を豊かにするための「自分軸」を見つける旅なのです。

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まとめ:FIRE卒業は“失敗”じゃない。進化と再調整のサイン。

「FIRE卒業」は、決して失敗ではありません。それは、FIRE達成後に見えてきた新たな課題や、変化した自分自身の価値観に合わせて、人生を「再調整」するサインだと捉えるべきです。僕が「質素であることは再調整である」と考えるように、人生は常に変化し、それに合わせて自分も調整していくものです。

真の自由と心の平穏は、特定の状態に到達することだけではなく、どんな状況でも自分らしくいられる「心の強さ」と「しなやかさ」にある。そして、その強さを支えるのが、「お金は心の盾」という経済的な基盤と、自分らしい生き方を形作る「哲学」なのだと思います。

さあ、あなたも「FIRE卒業」を恐れることなく、自分にとっての本当の豊かさとは何かを問い直し、今日からその道を歩み始めませんか。

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