「努力家ですね」──そう言われるたびに、僕は正直ちょっとくすぐったい気持ちになります。そんな立派な人間じゃないんだけどな、と。
なぜなら、僕の「努力」は、世間一般のイメージとは少し違う、ひねくれた努力だと自覚しているからです。真っ直ぐに「夢のため!」「目標達成のため!」と燃え上がるタイプではありません。僕の原動力は、むしろ「将来めんどくさくならないように、今のうちにやっとこう」という、極めて現実的な思考です。
つまり、僕の基本スタンスは「頑張らないための努力」。 これは、未来の自分をラクさせるための、言わば「戦略的サボり」であり、最高の“防衛策”だと考えています。
この記事では、僕がどのようにこの「頑張らないための努力」を実践してきたのか、具体的な人生経験を交えながら解説します。きっと、頑張りすぎに疲れたあなたにも響く、新しい努力の形が見つかるはずです。
1. 不安回避が原動力:高校中退から大学受験までの「防衛的努力」
僕の「頑張らないための努力」は、高校を中退した頃からすでに始まっていました。
高校を辞めたとき、もちろん大きな不安がありました。「このままだと人生詰むかもしれない」。その漠然とした恐怖感が、僕を必死に勉強へと駆り立てたのです。それは「勉強が好きだから」でも、「学問に目覚めたから」でもありませんでした。
ただひたすら、「将来の自分が、もっとしんどい目に遭うことを避けたかった」。そのための「不安への予防接種」として、高卒認定試験(高認)を経て大学受験というルートを必死で模索しました。優等生になりたかったわけではなく、ただ「最悪の事態」を回避するための、防衛的な努力だったのです。
この経験が、僕の「頑張らないための努力」という思考の根底に深く刻み込まれました。

2. 社会人になってからも続く「防衛策」としての努力
会社に入ってからもこの思考は全く変わりませんでした。むしろ、社会という荒波の中で、その重要性を一層強く感じるようになりました。
- 資格取得: 「会社の中で居場所を確保しないと、リストラや異動で詰むかもしれない」という不安から、必死で資格を取得しました。これは、自分の市場価値を高め、「いざ」という時のための「保険」です。
- 投資開始: 「給与所得だけでは、この先何があるか分からない。老後も不安だ」という思いから、毎月の投資をスタートさせました。これもまた、将来の経済的な不安から自分を守るための「バッファづくり」に他なりません。
僕がしてきた努力の多くは、何かを積極的に勝ち取るためというよりも、**“いざ”というときに困らないための「防御策」**だったのです。
3. 「未来の自分に怒られないように、今やっとく」という視点
では、現在の僕の「頑張らないための努力」とは具体的にどのようなものでしょうか? 例えば、今こうして書き続けているブログもその一つです。
文章を書くこと自体は好きですが、それだけではありません。僕の心の中には常に「いつか振り返れるアーカイブにしたい」という思いがあります。
- 落ち込んだ時: 過去の自分の思考や感情を振り返り、そこからヒントや解決策を見つけ出すことができるかもしれない。
- 将来何かを始める時: これまでの経験や知識の蓄積が、新たな挑戦の足がかりになるかもしれない。
これはまさに、“未来の自分”への仕送りのような感覚です。未来の自分が「なんであの時やっておかなかったんだ!」と後悔しないように、今のうちにコツコツと種をまいておく。それは、将来の自分を「ラク」させてあげるための、愛情にも似た努力なのです。
4. 「頑張らない自分」を“仕組み”で成立させる戦略
正直なところ、がんばり続けるのは疲れます。だからこそ、僕は「がんばらなくても、ある程度自動的に整っている状態」をつくることに力を入れています。これは、未来のしんどい自分を救うための、緻密な“下ごしらえ”です。
- 朝の散歩でメンタルを保つ: 義務感ではなく、習慣として取り入れることで、日々の心の安定を自動化します。
- ボイスメモで思いついたネタを逃さない: ふとしたアイデアをすぐに記録する仕組みを作ることで、後から「あれ、なんだっけ?」と頭を悩ませる手間を省きます。
- ブログ(note)で頭の中を整理しておく: 思考をアウトプットする場を設けることで、頭の中のモヤモヤを解消し、常にクリアな状態を保ちます。これは、僕にとって最も効率的な「知的整理」の仕組みです。
これらはすべて、未来の自分が「頑張らなくても、快適に過ごせる」ための投資なのです。
おわりに──努力とは、未来の自分を「信じる」行為かもしれない
「今はたいして報われなくても、あとで必ず役に立つだろう」。
そう思えるからこそ、僕は今日もほんの少しだけ、この「頑張らないための努力」を続けることができます。
それはつまり、「未来の自分は、今の僕の努力をちゃんと活かしてくれる」と、心から信じているからに他なりません。
努力とは、単に目標を達成するための手段ではありません。それは、未来の自分を信じ、その人生が少しでもラクになるように、今の自分ができる最高のプレゼントを贈る行為なのです。
だから、僕もあなたも、今日もほんの少しだけ「頑張らないための努力」を続けてみませんか? 未来の自分が、きっとあなたに感謝するはずです。

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