【キャリア】会社は「守るもの」から「選ぶもの」へ 〜転職1年目で感じた会社との付き合い方〜

キャリア

こんにちは。地方の大企業に転職して、気づけばもうすぐ1年が経とうとしています。高校中退から始まり、大企業の名刺を手に入れ、そして転職という、まるでジェットコースターのような道を歩んできた僕。今回は、そんな僕が「会社との付き合い方」について、どんな価値観の変化を遂げてきたのかを、つらつらと書いてみようと思います。

かつては会社にすべてを捧げ、その評価こそが自分の価値だと信じて疑いませんでした。しかし、今は違います。会社は、人生を豊かにするための「ツール」であり、時には「パートナー」にもなり得るけれど、決して「運命の人」ではない、と。この大きな価値観の変化が、僕の人生をどれほど楽にしてくれたか、ぜひお伝えしたいと思います。

名刺こそが人生のゴールだった:学歴コンプレックスと「勝ち証」への執着

新卒で入社したのは、誰もが知るような“名の通った大手通信企業”でした。当時の僕にとって、その名刺こそが「人生の勝ち証」であり、自己肯定感の全てでした。

だって、考えてみてください。僕は高校を中退しているんです。学歴コンプレックスの塊でしたから、「ちゃんとしたレール」から外れてしまったという焦燥感は半端ありませんでした。そこから高卒認定試験(高認)を取得し、大学に進学し、さらに大学院まで進んで、やっとの思いで掴んだ大手企業の内定。それは、まるで砂漠でオアシスを見つけたような、文字通りの「命綱」でした。

だからこそ、この手に入れた名刺だけは、何が何でも手放したくなかった。会社にしがみつくことこそが、僕の人生の「正解」だと信じて疑いませんでした。

パワハラでも、居場所を守りたかった:資格マシーンと化した日々

そんな僕が最初に配属されたのは、絵に描いたような“ザ・昭和なパワハラ上司”がいる部署でした。毎日のように怒号が飛び交い、会議では言葉が出てこず、メールの「送信」ボタンを押す手が震える日々。まさに、心がすり減っていくのを感じる毎日でした。

それでも、僕は辞めませんでした。いや、辞められなかった、というのが正直なところです。せっかく手に入れた「居場所」を失うのが怖かった。スキルもない、実績もない、そんな自分にはここしかない、と思い込んでいたのです。

そこで僕が選んだ戦略は、「資格取得」でした。とにかく「目に見える実績」を作り、自分の存在価値を証明したかった。PMP、AWS、CISSP、LPIC…。片っ端から資格を取りまくって、気づけばその数は20個を超えていました。社内では、いつしか“資格マシーン”と呼ばれるまでになったほどです。

居場所は作れた。けど、それで幸せだったか?:虚無感と適応障害

資格を次々と取得し、「すごいね」「よく頑張ったね」と周囲から言われる機会も増えました。発言の場も与えられ、一時は本当に誇らしかった。これで自分の居場所は確保できた、と。

しかし、その先に待っていたのは、虚無感でした。適応障害になって休職したとき、僕は自問自答しました。「あれ?全部むなしいかも」と。必死に手に入れた資格も、ようやく作り上げた居場所も、そして「勝ち証」と信じていた名刺も、自分の心が壊れてしまっては、何の意味もないではないか、と。

この経験は、僕に「本当に大切なものは何か」を深く考えさせるきっかけとなりました。それは、他者からの評価や目に見える肩書きではなく、自分自身の心の健康と幸福感なのだと。

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転職して変わった価値観:ワークライフバランスと「長く働ける」幸せ

そして今、転職して新しい会社で働き始めて1年。以前とは180度違う考え方をしている自分がいることに、正直驚いています。

今の僕は、会社との距離感がちょうどいい。

  • 無駄な残業?しません。定時になったらサッと帰ります。
  • 昇進のために上司に媚びる?しません。自分の仕事に集中します。
  • 夜は家族とゆっくりご飯を食べて、趣味の時間も大切にします。 
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以前の僕なら「出世コースから外れたら人生終了だ」と本気で思っていたでしょう。しかし今は、「むしろこの方が心身ともに健康で、長く働けるやん」と、心からそう思っています。会社で無理をしすぎず、自分のペースで働くことの心地よさを知ったのです。

なぜこんなに変われたのか?:資産形成とスキル形成がもたらした「選択肢」

なぜ、ここまで価値観が変われたのか?その最大の理由は、やはり**「資産形成」と「スキル形成」**の力に他なりません。

これら二つの「資本」があるからこそ、今の僕は**「会社に選ばれる」という受動的な立場から、「会社を選ぶ」という能動的な発想**へと転換できたのだと思います。

最強のメンタルは「選択肢がある状態」:人生のハンドルを自分で握る感覚

実際に今の会社を辞めるつもりはなくても、「いざとなったら辞めても大丈夫」と思えることが、僕の精神的な安定に絶大な効果をもたらしてくれています。

「もうあの会社に過剰にすがらなくてもいい」 「いつでも別の道がある」

そう思えた瞬間、会社という巨大な組織に対して過剰な期待を抱いたり、必要以上に忖度したりすることがなくなりました。会社はあくまで、自分の人生を構成する要素の一つに過ぎない、と冷静に捉えられるようになったのです。

そして何より、自分の人生のハンドルをちゃんと自分で握っているという確かな実感が湧いてきました。これは、何物にも代えがたい心の自由と、揺るぎない自信に繋がっています。

終わりに:会社は“運命の人”じゃない

よく考えてみると、会社との関係って、恋愛とすごく似ているな、と感じます。

最初は必死に振り向かせようと頑張って、ようやく付き合い始めると、相手の嫌なところも見えてくる。それでも「この人しかいない」と思い込んで、無理をしてしまう。でも、一度距離を置いてみると、「あ、別にこの人(会社)じゃなくても、もっと自分に合う人(会社)がいるかも」と思えるようになる。そうなると、不思議と相手との付き合い方も、より健全で良好なものになっていく。

会社は“守るもの”じゃない。 会社は“選べるもの”であってほしい。

そのための準備を、今日も淡々と積み上げていこう。自分の人生の主役は、いつだって自分自身なのですから。

会社に使われる人 会社を使う人 (角川新書)
ベストセラー『定年後』の著者が贈る「日本版ライフシフト」。自身も50代でサラリーマンから作家という「もう一人の自分」をつくった著者が、「働き方改革」が叫ばれるいま、真のワークライフバランスを伝授。

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