「資格を取っても意味ないよ」 「時間とお金の無駄じゃない?」
もしあなたが、資格取得に興味があっても、そんな声に踏みとどまっているなら、かつての僕も同じような不安を抱えていました。
通信系大企業で働いていた頃、僕はパワハラ上司の執拗な𠮟責と過酷な労働環境に心身ともに追い詰められました。心療内科で適応障害と診断された時、僕の人生は完全に止まってしまったように感じました 。未来が見えず、ただただ毎日をやり過ごすだけで精一杯。そんなどん底の時期に、僕はふと、「このままでは何も残らない」という強烈な焦燥感に襲われたのです。
そこから、僕は「生きるため」に資格取得を始めました。
なぜ、僕が資格を「心のギア」と呼ぶのか。そして、ただの紙切れではない、本当の価値とは何だったのか。回り道ばかりだった僕が、10以上の資格取得を通して手に入れた「3つの自由」について、具体的な経験を交えてお話しします。
1. どん底から這い上がるための「自信」
パワハラと激務で、僕の自己肯定感はズタズタでした。仕事でミスをするたびに「お前は本当に使えないな」と言われ続け、僕自身も「自分には何の価値もない」と思い込んでいました。
そんな状態で始めた資格の勉強は、最初はとても辛いものでした。集中力が続かず、すぐにネガティブな感情に引きずり込まれてしまう。それでも、「何でもいいから、何か一つでも達成したい」という気持ちだけで机に向かいました。
初めて合格通知が届いた日、僕は涙が出そうになりました。それは、資格を手に入れたこと自体よりも、「自分にもまだできることがある」と、ほんの少しでも自分を肯定できたことへの感動でした。
その後、PMPやAWS SAPといった難易度の高い資格に次々と挑戦し、合格を重ねていくうちに、僕の心には確かな「自信」が積み重なっていきました。この自信は、パワハラ上司に何を言われても、「自分にはこれだけの知識とスキルがある」と、心の盾になるものでした。資格取得は、失われた自己肯定感を回復させるための、最も確実なリハビリテーションだったのです。
2. 孤独な戦いを終わらせる「居場所」の獲得
パワハラが蔓延する職場では、僕は完全に孤立していました。誰もが自分を守るのに必死で、相談できる相手もいませんでした。会社に居場所がなく、僕は一人で孤独な戦いを続けていました。
しかし、AWSの難易度の高い資格に合格したことをきっかけに、状況は少しずつ変わり始めました。
ある時、社内の別部署の先輩から「AWSの資格を持っているんだって?ちょっと教えてくれないか?」と声をかけられました。それまで話したこともない先輩との、資格を通したコミュニケーション。それがきっかけで、僕はその先輩が関わるプロジェクトにアサインされることになり、新しい居場所を見つけることができたのです。
資格は、僕が孤独な戦いを終わらせ、社内に新しい「居場所」を作り、人との繋がりを生み出すためのパスポートでした。自分のスキルが認められ、感謝される経験は、僕に「自分はここにいてもいいんだ」という安心感を与えてくれました。



3. いつでも辞められる「自由」
「資格取得」と「資産形成」は、僕にとっての両輪でした。
資格取得で自分の市場価値を高める一方で、資産形成で経済的な基盤を築きました。資産形成を始めたきっかけは、パワハラによる適応障害で「いつでも会社を辞められるように」という強い思いからです 。
実際に転職を決意した際、この2つが大きな武器となりました。履歴書には10以上の資格が並び、面接官は「なぜこれほど多くの資格を?」と興味を持ってくれました。また、資産4,000万円という経済的基盤があったからこそ、焦って転職先を決める必要がなく、本当に自分が働きたいと思える会社をじっくりと探すことができました。
この「いつでも辞められる」という選択肢が、僕を精神的に大きく解放してくれました 。
資格は「魔法」ではない。人生のペースを調整する「心のギア」
資格は、それだけで人生を変える魔法ではありません 。 しかし、人生という長い道のりで、僕たちが時に直面する急な坂道や荒れた道(パワハラ、適応障害)に立ち向かうための「心のギア」になってくれます。
資格取得は、単なる知識の証明ではありません。それは、困難な状況の中でも「一歩前に進もう」と行動したことの証であり、過去の自分への最大の投資です。
現在の僕は、育児休業という貴重な時間の中で、今後のキャリアを見据えて、データ活用やファイナンスといった分野の資格にも興味を持っています。会社の枠を超えて、どこでも通用する自分であり続けたい。
この経験が、資格取得に迷うあなたの背中を、そっと押すことができれば幸いです。



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