履歴書は立派。でも、生活はカツカツ。
…そんな矛盾を抱えた状況に、僕は何度も心当たりがあります。
学生時代は「学歴があれば安泰」と信じ、社会人になれば「職歴を積めば安心」と思い込みました。難関資格を取るたびに、自分の価値が底上げされたような気分にもなりました。まるで、ゲームのキャラクターが新しい武器や防具を手に入れて、強くなったような感覚でした。
しかし、その鎧は、僕を外敵から守るどころか、逆に僕を縛り付けていることに気づいたのは、心身を壊してからのことでした。
かつて、通信系の大企業で激務に追われていた僕にとって、輝かしい学歴や職歴、そして数々の資格は、まるで自分を守るための、そして自分を証明するための唯一の手段でした。
心の余裕を作るのは、肩書きや資格といった「過去の証明」ではなく、資産という「未来の選択肢」だったのです。
今回は、そんな僕が、自己満足を追い求める日々から、心の余裕を手に入れるまでの道のりについて、過去の苦い経験も交えながら、お話ししたいと思います。
1. 肩書きは「過去の証明」、資産は「未来の選択肢」
学歴や職歴、資格は間違いなく努力の成果です。それは、僕が高校を中退してから、大学で猛勉強し、成績優秀者として表彰されるまでの努力の証でもあります。
それらは、僕の過去を語るときには役立ちますし、一定の信頼や評価を得る手助けにもなります。僕自身、多くの資格を取得したことで、地方企業への転職がスムーズに進んだのは事実です。
しかし、それらが直接「今日、働くのをやめても大丈夫」という安心感をくれるわけではありません。
むしろ、立派な肩書きほど「それを維持しなければ」というプレッシャーがつきまといます。かつての僕は、適応障害で心が悲鳴を上げていても、「この素晴らしい職歴を汚してはいけない」「せっかく手に入れた地位を失ってはいけない」というプレッシャーから、なかなか退職に踏み切れませんでした。それは、まるで重い鎧を身につけて、身動きが取れなくなっているような感覚でした。
資産は違います。
資産があれば、「嫌ならやめる」「別のことに挑戦する」「しばらく立ち止まる」といった選択肢が、現実的に持てるようになります。
それは単なる自己満足ではなく、人生の主導権を取り戻す力です。


2. 履歴書には書けない、僕の「心の残高」
僕の価値観が変わる転機は、意外にも地味なものでした。
それは、激務から解放され、心に少し余裕ができた頃のことです。
ある日、ふとスマホの銀行アプリを開いたとき、残高が想像よりも多く、そして「今すぐ収入がゼロになっても、数か月は暮らせる」という事実に気づきました。
その瞬間、肩の力が抜けたように感じたんです。
かつて、パワハラ上司の顔色をうかがい、会社の空気や人間関係に振り回され、お金のために我慢を重ねていた自分が、少しだけ自由になった気がしました。
この時、僕は初めて「心の残高」という概念を意識しました。
それは、単なる銀行の数字ではなく、僕が自分らしく生きるための「心のバッファ」であり、「選択肢の数」でした。
この心の変化は、どんな難関資格の合格通知よりも僕の心を軽くしてくれました。履歴書には書けない、僕だけの「心の残高」を手に入れた瞬間でした。
3. 自己満足を積み上げた日々から、現実の満足を追求する日々へ
僕もかつては「もっと肩書きを増やせば自信がつく」と信じていました。
履歴書の資格欄を埋めることが、自分を守る唯一の方法だと思っていたのです。
しかし、いくら自己満足を積み上げても、家計が赤字なら不安は消えませんし、ストレスは溜まる一方です。
かつて、僕が適応障害で苦しんでいたときもそうでした。華やかな職歴や資格は、僕の心を癒すことはできませんでした。
資産形成は地味で、すぐに結果が出るものではありません。
それでも、その地道な積み重ねが、人生のストレスを減らし、選択肢を増やす“現実の満足”へと変わっていくのです。
それは、まるで地道な筋力トレーニングのように、最初は目に見える変化がなくても、いつの間にか、体が軽くなり、より動けるようになる感覚に似ています。

4. 資産は、人生の「一時停止ボタン」を押すチケット
お金は単なる数字ではなく、「時間を買うためのチケット」でもあります。
資産があれば、人生の一時停止ボタンを押すことができる。
かつての僕のように、心の病で会社を辞めざるを得なかった時でも、資産があれば焦らずに療養に専念できます。育児休暇を取ったり、数か月、あるいは数年、立ち止まって自分のペースを取り戻すことだって可能です。
肩書きは、会社の倒産や予期せぬトラブルで一瞬で奪われることもあります。
でも、蓄えた資産は、あなたの意思で守ることができます。
そして資産は、将来の自分に「焦らなくていいよ」と言ってくれる心のバッファです。
それは、かつて僕が激務の中で見失っていた「心の平穏」を取り戻すための、最も確実な方法でした。

5. 結論:資格より資産、自己満足より現実満足
学歴も職歴も資格も、大切な努力の証です。
それは、あなたがこれまで歩んできた道のりを証明する、かけがえのないものです。
けれど、それらは人生の安定を直接保証してくれるわけではありません。
僕自身、心身を壊して初めて、その事実に気づきました。
僕はこれからも、資格より資産、自己満足より現実満足を優先していきます。
なぜなら、資産こそが、人生を自由にデザインするための、揺るぎない土台だからです。
そして、その土台の上に、僕自身が心から納得できる「やめたくない仕事」という名の新しいキャリアを、ゆっくりと築いていきたいと思っています。

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