【モノ】IT職とスニーカーと僕──ニューバランス996偏愛記

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「自分の体と地面の間にあるものには金をかけろ」──これは、私が社会人になって以来、深く胸に刻み、そして愛してやまない人生の格言です。座る時間が多い現代において、私たちが直接触れるもの、体を支えるものには惜しみなく投資すべきだという考え方です。具体的には、毎日座る椅子、一日の疲れを癒すマットレス、そして、私たちを一歩一歩前へ進ませてくれる。今日は、この中でも特に「靴」に焦点を当て、私の人生を変えた一足、ニューバランス996との出会いと、その哲学について語ってみたいと思います。

IT部門の服装自由すぎ問題、そして私の足元ポリシー

私は現在、IT部門で働いています。この業界に身を置く者なら誰もが頷くであろう、「服装自由」という魔法の言葉。スーツ不要、ノーネクタイ、そしてスニーカーOK。つまり、何を着ても怒られない(ただし空気は読め、という暗黙の了解はありますが)という、ある意味で自由すぎる世界観がそこには広がっています。

しかし、この自由な環境だからこそ、私は自分なりの「ポリシー」を持つことにしました。それが、「足元には絶対に手を抜かない」というこだわりです。なぜなら、どれだけ服装が自由でも、足元がしっかりしていなければ、一日を通して最高のパフォーマンスを発揮することは難しいと知っているからです。

僕の足元に鎮座する愛しのニューバランスたち

現在、私の自宅には、日々の活動を支えてくれる愛すべきニューバランスのスニーカーが5足鎮座しています。それぞれに役割があり、私のライフスタイルに合わせて活躍してくれています。

  • 576: 休日のリラックスタイムに最適な、ゆったりとした履き心地の「ゆるふわ番長」。
  • 1400: 少しかしこまった場所にも履いていける、上品なデザインの「ちょっとキレイめ系」。
  • 990: どんな場面でも足元を支えてくれる、安心感と安定感の塊のような存在。
  • 996: 私の足元を長年支える、不動の「主力」モデル。
  • 1880: 長距離の通勤やたくさん歩く日に特化した、高機能な「通勤特化マシン」。

これらのニューバランスはどれもが私にとってかけがえのない存在ですが、中でもひときわ深い思い入れがあるのが、996です。その理由は、忘れもしない7年前の「出会い」にあります。

出会いはセール棚の片隅で、そして新世界へ

約7年前、私はアメリカ出張でとあるスニーカーショップに立ち寄りました。時差ボケと睡眠不足で心身ともにフラフラだった僕の目に、まるで光が差し込むように飛び込んできたのが、セール棚の片隅にひっそりと並んでいた一足のM996でした。

「これは…なんか、イイ気がする」

根拠のない直感でしたが、私はその感覚を信じてM996を手に取り、試し履きをしてみました。その瞬間、私の足元に広がる“新世界”に驚きを隠せませんでした。「軽い…なんだこれ!? スニーカーって、こんなに軽かったの!?」

当時、私は仕事柄、革靴ばかりを履いていました。そのため、スニーカーといえば、どこか重く、足に負担がかかるものだという先入観があったのです。しかし、996は違いました。まるで何も履いていないかのような軽さ、そして足に吸い付くようなフィット感。それはまさに「履いたまま走り出せるスニーカー」であり、私の靴に対する概念を根本から覆す体験でした。この出会いが、私の足元への投資、ひいては人生観に大きな影響を与えることになったのです。

一歩が変わると、考え方も変わる

ニューバランス996との出会い以来、私は完全にニューバランス派になりました。もう、革靴を履いていた頃の「トンカチを履いているような」重くて硬い感覚には戻れません。996を履いた日は、足取りが軽くなるだけでなく、心まで軽やかになるのを感じます。

「今日は移動中にポッドキャストが2本多く聴ける気がする」──これは大げさな表現かもしれませんが、本当にそう思えるほど、歩くこと自体が楽しくなりました。電車に乗るよりも歩く方が快適だと感じ、時には「今日は無駄に遠回りして帰ろうかな」と、積極的に歩く時間を作るようにもなりました。一歩一歩が軽くなることで、日々の移動が苦痛ではなくなり、新たな発見や思索の時間へと変わっていったのです。歩くことの楽しさを再発見したことで、心身ともにポジティブな変化が訪れました。

時々浮気するけど、水と同じ存在

もちろん、私も人間です。新しいスニーカーの魅力に惹かれて、時々「浮気」もしました。ナイキのフライニットの革新的な軽さに心が躍ったこともありますし、HOKAのクリフトンが提供する独特のクッション性に目移りした時期もありました。

しかし、どんなに魅力的なスニーカーを試しても、結局は996のもとに戻ってきてしまうのです。それはもう、毎日「水を飲む」のと同じくらい、ごく自然なこと。誰かに「なんでそんなに996ばっかり履くの?」と聞かれても、「いや、そういうもんでしょ」と答えてしまうくらい、私にとっては当たり前の存在になっているのです。特別な理由を探す必要がないほど、996は私の足に馴染み、私の一部となっています。

靴も、椅子も、“体と地面の間”である

先ほど冒頭で述べた「自分の体と地面の間にあるものには金をかけろ」という格言。以前の記事で、私は究極の座り心地を追求した椅子、エルゴヒューマンを愛用していることを書きました。エルゴヒューマンは、長時間座りっぱなしの生活を送る私の腰を救ってくれた、まさに「座りっぱなし人間の味方」です。

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そして今日、996との歩みを振り返りながらふと気づいたのです。ニューバランス996もまた、私にとっての「エルゴヒューマン」だったのだと。

現代人の多くは、座る時間が長いのと同じくらい、歩く時間も長いものです。通勤、買い物、散歩、移動…私たちの足は、日々多くの負担を受けています。そんな中で、足元を支える靴は、まさに「第二の椅子」と呼べる存在です。快適な椅子がデスクワークの効率を上げるように、快適な靴は日々の活動の質を高め、体への負担を軽減し、心までも軽やかにしてくれるのです。

まとめ:ニューバランスに足元を預けよう

もしあなたが、毎日履く靴選びに悩んでいるなら、ぜひ一度、ニューバランスの996を試してみてほしいと心から思います。特に、コストパフォーマンスに優れたCM996というモデルもあるので、気軽に試すことができます。

  • 見た目はクラシック: 時代に左右されない洗練されたデザインは、どんな服装にも合わせやすい。
  • 履き心地はモダン: 現代の技術が詰まったクッション性と軽さは、足元に最高の快適さをもたらす。
  • クセがないのに、クセになる: 派手さはないけれど、一度履いたら手放せない、そんな中毒性があります。

それが、私が996と共に歩んだ7年間の結論です。そして今日も、私の足元には、変わらず愛しの996が、そっと寄り添ってくれています。

あなたがもし、日々の生活の中で足元の疲れを感じているなら、あるいはもっと快適な移動を求めているなら、一度ニューバランスに足元を預けてみてはいかがでしょうか。きっと、一歩踏み出すたびに、新たな発見と喜びが待っているはずです。


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