もし、僕が「人生の満足度を高めるにはどうしたらいいですか?」と聞かれたら、真っ先にこう答えるだろう。
「まずは、健康な体を手に入れること」
なぜなら、かつてIT系大企業の激務で心身を壊し、適応障害と診断された僕は、健康という土台を失ったことで、人生の満足度(QOL)がゼロになる体験をしたからだ。
QOL(Quality of Life)とは、文字通り「生活の質」のこと。
充実したキャリア、趣味に没頭する時間、家族との穏やかな暮らし。これら全ては、僕たちが人生を「心地よい」と感じるための要素だ。
しかし、これらの要素を支える「土台」がなければ、全ては脆く崩れてしまう。
その土台こそが、ADL(Activities of Daily Living)──食事、睡眠、運動といった、ごく基本的な「日常生活動作」だ。
今回は、僕自身の経験を振り返りながら、「QOLを高めるための土台としてのADL」について、深くお話ししたいと思う。
1. QOLを失った僕が気づいた、ADLの大切さ
適応障害と診断され、僕は会社を辞めた。
当時、僕のQOLは限りなくゼロに近かった。
- キャリア: 輝かしいキャリアは崩壊し、転職への不安でいっぱいだった。
- 趣味: 好きだったバイクに乗る気力も起きず、部屋の隅で埃をかぶっていた。
- 家族: 妻や子どもと穏やかに過ごすどころか、自分のことで精一杯で、笑顔すら作れなかった。
しかし、それ以上に衝撃的だったのは、食事や睡眠といった、ごく当たり前のADLすらままならなくなっていたことだ。
食欲もなく、眠れない日々。ベッドから起き上がるのさえ億劫だった。
この時、僕は初めて気づいた。
どんなに素晴らしいQOLを夢見ても、食事や睡眠、運動といった、当たり前のADLが確保できていなければ、何も始まらないのだと。

2. QOLを高めるための、ADLという3つの土台
QOLを高めるためには、まずADLという土台を丁寧に築き直すことが必要だった。
僕が意識的に取り組んだのは、以下の3つのことだ。
- 食事:丁寧に「自分を養う」
- 以前は、コンビニ飯や外食で済ませることが多かった。しかし、妻が作ってくれる温かいご飯を、ゆっくりと味わって食べる時間を持つことで、僕は食事が単なる栄養補給ではなく、「自分を養う」ための大切な行為だと気づいた。
- 睡眠:最高のパフォーマンスを生むための「投資」
- 眠れない日々から解放されるため、僕は睡眠環境を整えた。寝室を暗くし、寝る前にスマホを見るのをやめ、静かな音楽を聴くようにした。質の良い睡眠は、心と体を回復させるための、最高の「投資」だった。
- 運動:心の安定を取り戻す「心のメンテナンス」
- 最初は散歩から始めた。近所の公園をただ歩くだけ。少しずつ体を動かすことで、気分が晴れやかになるのを実感した。僕にとって運動は、痩せるためではなく、心の安定を取り戻すための「心のメンテナンス」だった。
3. QOLとADLは「両輪」だった
ADLが整い始めると、僕のQOLも少しずつ向上していった。
- 健康: 体が軽くなり、表情が明るくなった。
- 趣味: 再びバイクに乗りたいという意欲が湧いてきた。
- キャリア: 転職活動を再開する気力も生まれた。
QOLとADLは、どちらか一方が欠けても成り立たない「両輪」のようなものだ。
地味で当たり前のADLを丁寧にこなすことが、結果的に人生の満足度を高めるQOLへと繋がっていくのだ。

おわりに
「健康はお金では買えない」という言葉がある。
しかし、僕は「健康は、毎日のADLという名の努力で手に入れられる」と声を大にして言いたい。
食事、睡眠、運動。
この地味で当たり前のことを、丁寧に、そして大切に行うこと。
これこそが、僕たちが自分らしい人生を生きるための、最も確実で、最も強力な「土台」なのだ。
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